生後247日
私が最近欲しかった物、それは雑貨店で売られている正座椅子。カエルのほかに犬や象、キノコなどその他にもたくさん種類があり、前々から欲しかったのだがいつもあまり可愛くないのしか残ってなくてずっと買えずにいた。今日フラフラと店へ行ってみると入荷されたようで全種類山積みになっていたので私はカエルとヒヨコを購入しワクワクしながら家に帰った。豆がいつもどおり「おかえり!おかえり~ッッ!!」と大喜びで迎えてくれていたが今日は豆と遊ぶよりも先にこの座椅子に座ってみたくて袋から勢いよくガサァッと取り出し、梱包されているビニール袋を引っぺがし早速座ってみた。うぅ~ん、良い感じ♪ふと豆を見ると部屋の端っこですっかりおとなしくなり遠目で様子を伺っている。あぁ、この座椅子が怖いんだな・・・。そのうち慣れてくれるだろうと私は座椅子をリビングの真ん中に置いたままにして自分の用事に取り掛かった。ちょっとしてからリビングへ戻ってみると、豆がカエルに向かって「やんのか!噛んだろか!!あぁッ!?」みたいな顔をしながらくわっくわっ!と今にもガブゥ!!と噛み付きそうな動作をしている!!!カエルは自分の意思で動けない状況下にありながら表情ひとつ変えず余裕の笑みまで浮かべているというのに一方的に襲おうだなんて何て卑怯なヤツだ!しかし、今後この座椅子を使うたびに豆がこんな状態じゃ落ち着いて正座もしていられない。暫し考えた末、私は豆に「カエルに闘いを挑むとろくなことがない」と思い知らせることにした。私はカエルを抱き上げて、さも生きているかのように座椅子を動かしながら「こらこら!ケロくん、動いたらダメよ。」と言いながらカエルをあやすフリをした。豆はすぐ横で口をあけたまま見守っていたが、私は突然座椅子を振り回し「わぁぁ!じっとしなさいィィーーッッ!!!わぁぁぁぁ~!!!」とカエルが暴れだし手がつけられないという場面を全力で演じた。豆がすっ飛んでハウスに避難したのはいうまでもない。豆が息を潜めて私とカエルを見ている・・・。私は仕上げにカエルを羽交い絞めにし、「ハァッハァッ・・・。そんなに暴れたら危ないでしょうがッッ!!!」と叱りながらカエルの頭をゲンコツでポカポカと殴った。私のアカデミー賞ものの熱演が功を奏し、以後豆は座椅子に闘いを挑むような無謀なことはしなくなった。
・・と私は信じているが、実は「お、お母ちゃんの頭がおかしくなった!!」とビビっていただけかもしれない・・・。